事業仕組み化プログラム(業務分析・IT活用他)
大成木材株式会社様は戦後の復興で木材の供給を支えた時代から続く、70年の歴史ある企業です。建材の販売事業ではお客様のニーズに応じて、木材以外にも建築現場で必要とされる資材・設備機器・金物類まで幅広く取り扱う総合商社となっています。
木造住宅の建設工事事業では、「木のことを知り尽くしたプロフェッショナル集団」として、建築士や大工のチームが設計から施工まで一貫して対応してくれるとお客様に喜ばれています。
建築業界は日本で最も古くからある業界で昔からの商習慣が多く残っていますが、近年は法改正の影響もあって仕事内容や働き方で大きな変化を迎えています。
3代目社長のものと、若い人にも「ここで働きたい」と選ばれる会社を目指そうと、業界に先駆けた新たな取り組みやIT導入へ挑戦されています。
建築資材の卸売業務では取り扱い商品数が非常に多く、独特な業界用語や専門的な設計図面を理解する基礎知識も必要です。さらにお客様との対話を通じて、多様な素材や形状・メーカーのなかからふさわしい建築資材を選んで手配する仕事では、個人の能力に左右される部分が大きくありました。
そのため社内に業務ノウハウがなかなか蓄積できず、新しい人が入社しても育成に手間と時間がかかっていました。
また社長からは社員それぞれがどのぐらいの業務量を抱えているか見えにくく、日常のオペレーションや評価が感覚的な判断になっていました。
社長のお話によれば「属人化と生産性の低さが中小企業の一番の泣き所」と表現されています。解決をしようにも、社内に知見と経験を持つ人がいなかった点がサービス活用の決め手になったそうです。
また具体的な業務内容で、専門家である自分たちには見えない、第三者の客観的な視点がほしかったともお話されています。
事業内容を伺って感じたことは、卸売業ならではの膨大な商品アイテム数だけでなく、きめ細やかな対応が求められる仕事の複雑さ、難易度の高さでした。
そこで基本に立ち返り、今ある業務上の課題、業務手順の整理、毎月の業務状況を明らかにする指標設定とフォーム作成、記録データの蓄積・分析からスタートしました。
記録データの分析で傾向が見えるまで数ヶ月を要しましたが、この分析結果から必要な対策と優先順位が明確になりました。
例えば属人化の解消に一つに、これまで代表メールや個人メールだったお客様とのやりとりを、コールセンターシステムの導入によりチーム内で全員が同じメール情報を共有する改善を行いました。
まだ道半ばですが、案件の分担ミスが防止できて、担当が抱えるメール件数も把握できるようになりました。
担当者個人だと、個人メールに入った情報を転送で共有して膨れ上がっていたメール件数が、必要な情報だけに圧縮できて開封や管理のストレスが軽減されています。
データが蓄積されれば、ゆくゆくは営業戦略をたてるマーケティングにも役立つと期待されています。グループウェアの導入やリモートワークができる体制作りも進められています。
<社長が感じる効果>
受発注業務では、定点観測の指標を決めて毎月集計しているレポートの傾向分析から様々な点が見えてきて感謝しています。
同時に人材の配置や育成について今後の大まかな流れをイメージできるようになりました。
次は建築や設計の仕事で欠かせない見積り・積算業務の見える化と仕組み化に取り組みたいと考えています。
早く結果を出したくて最初は少しまどろっこしく感じましたが、まず見える化から始めたことが良かったです。
社員が日々対応している業務をきちんと把握する、仕組みを構築する前の前提が抜けていたことに気が付きました。
またこの見える化によって、思いのほか自社では複雑な業務が多いことが、感覚的ではなく客観的に理解することができました。