★仕組み化★中小企業の事業拡大が大変なわけ(後編)

事業拡大

 

★仕組み化★
「事業の仕組み化」に関する何でもありのコーナー

「もっと事業を大きくしたいのに、事業拡大がなかなか進まない」

事業が好調で、お客様からの引き合いも増えていて、スタッフも採用したいのに、思うよ
うに事業を拡大できないとお困りの経営者はいらっしゃいませんか。
シクミカが中小企業の支援に特化したことで、見えてくる共通の事情がありました。
後編では中小企業の事業拡大がどうして大変かを、従業員の側面からひも解いて、支
援事例での解決策を振り返ってみます。

 

背景1:仕事の仕方と意識のチェンジ


小さな事業が事業拡大していくと、経営者だけでなく従業員にも変化が求められます。
従業員の切り口で中小企業の事業拡大が大変な背景1つ目は、仕事の仕方と意識を
変えてもらわなければいけないからです。

小さな事務所では従業員ひとりひとりが貴重な戦力です。
そのため仕事が人に付いて(これを属人化といいます)、その従業員がいなくなると対
応できる人がいなくなってしまう場合もあります。
事業の規模が大きくなると、お客様が増えて要求も高度になってきます。
「今、担当者がいないので対応に時間がかかります」が通用しなくなります。
またひとりでこなせる仕事量を超えてしまい、1つの業務を複数の人がチームを組んで
動かすようになります。

従業員それぞれが違うやり方で仕事を進めていて、品質にもバラツキがでていたら商
品やサービスが不安定になってしまいますね。
それを防ぐには誰もが同じやり方で、一定の品質を担保できる仕事の手順が必要にな
ります。
手順を作るには、今までその人がどんな仕事をしていたか、どんなやり方で進めていた
かを明確にして、一番いい方法で業務マニュアル等にしていく作業となります。

しかし、これを経営者が実行しようとすると、従業員から「仕事の手順を出したくない」
と反抗される場合があります。
仕事を取り上げられる心配や、自分のペースに干渉されると感じるためです。
事業を大きくするなら、個々の従業員任せでは通用しないため、このような従業員の仕
事の仕方と意識も大きく変えてもらう必要があります。

 

背景2:教育機会の提供


そして従業員の切り口で中小企業の事業拡大が大変な背景もう1つは、これまでし
たことがない仕事へのチャレンジで従業員教育が必要だからです。
わかりやすい例だと、手書きの伝票や明細をパソコンで作成するIT活用のケースです。

作業量が少ないときは手作業で対応できた仕事も、事業規模が大きくなるとIT化やシ
ステム活用が避けられません。
今までなかったパソコンやアプリを導入したら、一緒に仕事をする従業員も新しい機器
を使いこなしてもらう必要があります。

しかも少数精鋭で仕事を回している現場では、「誰が教えるか」という課題があります。
人の多い企業なら先輩社員に後輩の指導を任せられますが、全てを経営者頼りできた
中小企業では教育の適任者が見当たりません。
教わる従業員も今まで教育を受ける機会があまりなく、研修に慣れない人もいます。
そのため初めての従業員教育は内容をかみ砕いて丁寧に、少し多めの時間をかける
ことになります。

 

従業員に起こる課題解消のヒント


従業員の切り口でみた事業拡大の課題は、経営者の対応で対策をとっていきます。

背景1の仕事の仕方と意識をチェンジでは、やはり経営者が従業員に「ゆくゆく会社が
どうなっていくか、理想の姿」を前もって共有しておくのがひとつだと思います。
「将来この会社はどのような事業に力をいれて、どんな規模で仕事をしていて、どう仕
事を回していくか」あらかじめ提示されていると、自分の仕事がどう変わっていくか予
想がつきます。

先が見えると、今の仕事をどう変えたら将来に備えられるか、一緒に考えてくれる従業
員も現れるかもしれません。
「理念やビジョンは中小企業こそ重要だ」といわれるのは、ここにあると考えます。
短期的に目の前の仕事をこなすだけでなく、長期的に見通しをつけた仕事の仕方へ誘
導していくのも経営者の重要な役割です。

もし従業員から変化に対して「No」がでた場合は、従業員にもメリットがある説明を
お願いしています。
「今の仕事を後輩に引き継いで、あなたには難易度が高い仕事へシフトしてもらいたい」
「あなたには長期の就業を希望していて、将来的に病気や介護で抜けることになっても
会社としてバックアップできる体制にしておきたい」など伝えて協力を求めていきます。

背景2の教育機会の提供は、経営者から直接の教育が難しければ、業務マニュアル
や手順書を使ったり、外部講師を活用したりできます。
最初はレベルアップがゆっくりかもしれませんが、経験がない若いスタッフでも、高齢
のベテラン従業員でも伸びる可能性は十分あります。
初めての仕事をすぐできなくても、失敗があったとしても、事業成長の洗礼として少し
長い目で、がまんで見守ってください。
コツをつかむと従業員の成長スピードは徐々に速くなります。

「うちの従業員には、そんな難しいことできませんよ」と教育に消極的な経営者がいます
が、それでは従業員の成長機会を奪ってしまうことになります。
ぜひ自社の従業員を信じて、新しいことに挑戦する環境を作ってもらいたいと思います。
いずれは経営者を助けてくれる人材の育成につながっていくはずです。

ここまで中小企業の事業拡大が大変な理由について、経営者と従業員それぞれの側
面からみてきました。
いずれも事業拡大中の経営者が一人で対応するには量も質も手に余る状況です。
事業拡大が進まない際は、「個人で立ち上げた事業が、複数の人たちと育てる企業
に変わる時期」ととらえ、様々な人に相談やヘルプをどんどん出してみてください。
何をしたらいいか迷う場合は、お困りごとを整理する無料相談でシクミカもお手伝
いをさせていただきます。