★仕組み化★空き家問題から気づいた「中立の人」の重要性

 

★仕組み化★
「事業の仕組み化」に関する何でもありのコーナー

今回は不動産業界の事例から、中小企業の経営者がITを活用した経営改革を進める
際に欠けていた存在に気づいたお話です。

 

個人的な話題で恐縮ですが、ここ最近「実家問題」や「空き家問題」に触れることがあ
り、空き家になったご主人の実家の悩みを解決した友人の話を聞く機会がありました。
友人夫妻は住まいから遠く離れた実家に固定資産税だけ払い続けていたところ、台風
の被害で家が崩れて対策を迫られる困った状態になっていました。
そんな時に信頼できる不動産会社の担当Mさんに出会えたことで、土地を有効活用し
て、老後のお金の心配もなく、理想の住まいを手に入れた夢のような大逆転を迎えます。
具体的には、賃貸住宅や仕事場を併設した自宅を新築して、賃貸収入を建築費用にあ
てることで、資金負担を最小限に抑えてステキなマイホームを手にいれたのです。
詳しいお話はストーリー化されているので、ご興味ある方はこちらでどうぞ。

 

「あの空き家、どうしよう、と思った日からはじまる物語」
 M2 Office inc. (外部サイト)

https://concept-page.com/m2office/akiya-katsuyou/

 

そして、この不動産会社の担当Mさんが、今回の気づきを得た人でした。
Mさんに出会う前の友人は次のような悩みや不安を抱えていました。

<空き家の実家に手を焼いていた友人夫妻の悩み・不安>
①何を相談していいかわからない
②どんな解決策があるかわからない
③どこに相談してよいかわからない
④相談した側に有利な提案をされないか不安

 

①何を相談していいかわからないは、困っているけれど、自分たちもどうしたいかわか
らなくて、何を相談してよいか話ができなかった状況です。
②どんな解決策があるかわからないは、この土地を売ってしまうのか、新しい自宅に建
て替えるのか、駐車場やアパートなど別の用途で使用するのか、出口が見えなかった
ところです。
③どこに相談してよいかわからないは、出口が見えないから家の問題でも、売買を仲
介する不動産会社か、家を建てるハウスメーカーか、土地活用のコンサルか、相談先
の判断がつけられませんでした。
④相談先に有利な提案とは、知識がない素人が専門性の高い内容で相談を持ちかけたら
営業をかけられたり、他にいい方法があるのに聞けなかったり、相談相手である不動産
会社やハウスメーカー側にメリットがある提案に誘導されないか、という不安でした。
担当Mさんは、これを一つ一つ解決してくれます。

 

<友人夫妻の悩み・不安を解決してくれた担当Mさんの対応>
①何を相談していいかわからない
→友人夫妻に適切な質問で、理想の家や将来の希望を引き出してくれた

②どんな解決策があるかわからない
→確認した希望に沿って、考えられる対策プランを複数提案してくれた

③どこに相談してよいかわからない
→不動産会社やハウスメーカーなど提案にふさわしい相談先を選んでくれた

④相談した側に有利な提案をされないか不安
→不動産のプロ目線で、不動産会社やハウスメーカーの提案を吟味してくれた

 

そう、担当Mさんは不動産業界の人でありながら、不動産会社にも、ハウスメーカーに
も、どこにも偏らない中立の立ち位置で、友人夫妻に寄り添いプロとして交渉をしてく
れたのです。
この話を聞いたときに、パッと中小企業のIT活用で足りないものを見つけました。
先ほど友人夫妻が抱えていた①~④の悩みや不安は、そのままITを活用した経営を
したいと困っている中小企業の経営者に当てはまりませんか?

 

<自社のIT活用に手を焼いている経営者の悩み・不安>
①何を相談していいかわからない
→ITを活用した経営を目指したいが、どうしたいか、何を相談してよいか話せない

②どんな解決策があるかわからない
→Excel活用か、業務手順を変えるのか、システムを使うのか、出口が見えない

③どこに相談してよいかわからない
→PC教室か、コンサルか、システム会社か、相談先の判断がつけられない

④相談した側に有利な提案をされないか不安
→相談したコンサルやシステム会社にメリットがある提案に誘導されないか不安

 

この構図は「やれ補助金だ、助成金だ」と国や自治体がお金をつけて旗振りしても、中
小企業の経営改革とIT化が思うように進まない原因であると感じます。
つまり今回の友人夫妻にとって救世主になった担当Mさんのように、『経営者の立場で
会社の利益を優先して考え、ITを活用した経営改革に中立な立場で提案や交渉をして
くれる人』がいないからではないでしょうか。

 

<経営者の悩み・不安を解決してくれる中立な人がいた場合の対応>
①何を相談していいかわからない
→経営者と社員に適切な質問で、理想の仕事の仕方や希望を引き出してくれる

②どんな解決策があるかわからない
→確認した希望に沿って、考えられる解決策やシステムを複数提案してくれる

③どこに相談してよいかわからない
→コンサルか、システム会社などふさわしい相談先を選んでくれる

④相談したコンサルやシステム会社側に有利な提案をされないか不安
→IT活用のプロ目線で、コンサルやシステム会社の提案を吟味してくれる

 

不動産業界で担当Mさんの存在が珍しいように、経営者の経営改革を支援する事業
者で中立な人を探し出すのは大変です。
例えばIT補助金を例に考えると、IT補助金の制度を活用するには、事前に登録・認定
されたシステム会社の、指定のシステム(ツール)が対象になります。
この場合に、指定のシステムが相談した経営者の会社にベストマッチでなくても、相談
を受けたシステム会社は「うちのシステムで解決できます」といって導入を進める可能
性はゼロではありません。

 

ただし、その事実をITについて素人の経営者が見極めるのは難しく、導入後に「なんか
うちの会社に合わない、使いにくいシステム」となってしまうのです。
残念ながら「うちよりもっといいシステムがありますよ」と他社のシステムを紹介したり、
導入後の会社の運用まで面倒を見てくれたりするシステム会社は少なく、導入し終えると
サポート終了が多いです。
最近は長期的なサポートで丁寧に対応してくれるシステム会社も増えていますが、まだ
少ないほうでしょう。
せっかく導入したシステムだけど、自社に合わなくて、慣れない操作で使いこなすことも
難しい、結局は活かしきれないままお金や手間だけかかってお荷物になってしまう話も
聞かれます。

 

現状の「システムありき」の補助金や助成金の枠組みや、中小企業の支援方法では、
自社製品の販売ノルマが課されたシステム会社の営業に、担当Mさんの役割を求める
のは難しいといえます。
本来は「その会社の成長に必要な対策」を考えて、システムがなくても可能なら、
むしろシステム導入なしの経営改革を支援できる人が必要と理解しました。

 

そこで今年のシクミカが目指す方針を決めました。
この担当Mさんのような「中立な人の立ち位置で、経営者の方と会社にとってベストな
提案を一緒に探して支援する」にします。
これまでシクミカの事業内容で、競合が少なかったのは、無意識に中立の人としてサー
ビス提供していたからと気づかせてもらいました。
ないものは作ればいい、今回の出来事を機にこの立ち位置を明確に意識して、より多く
の経営者と、その会社で働く方々をサポートしてまいりたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。